オフィス移転の際に生じることが多い産業廃棄物
事業の拡大をはじめとして、オフィスを移転する機会は意外と多いものです。一般家庭の引っ越しも大変な作業ですが、オフィスの場合はその何倍もの重労働になります。法律や規約に従う形でさまざまな処理を進めなければなりません。
その中でも特に気を使うのがゴミの処理であり、オフィスの規模によってはそれだけで3日以上かかる場合もあるでしょう。一口にゴミといっても多くの種類がありますが、一般的家庭と大きく異なるのは産業廃棄物の存在です。
もちろん、業種によってはあまり多く発生しないケースもあります。一方であまりに大量に発生して、どのように処理して良いのか分からず、途方に暮れてしまうようなケースもあるのです。不用品であるのは間違いありませんが、一般家庭のゴミのように処理して良いのか判断しにくいからです。
その結果、不法投棄してしまうような企業も見受けられますが、犯罪なので決してマネをしてはいけません。法律とモラルを順守して適切に処理することが求められます。企業の評判にも大きく関わることであり、不適切な対応が経営に大きなダメージを与えることも珍しくありません。作業廃棄物の処理は企業にとって重大なミッションであることを認識しましょう。
会社の粗大ごみの処分方法
ロッカーやOA機器をはじめとして、会社には粗大ごみになるものが多くあります。オフィスを移転するなら、それらの処分方法を把握しておくことが欠かせません。基本的には以下の3種類が存在するので臨機応変に選択しましょう。
許可を得た専門業者に依頼
オフィスで出た粗大ごみに関するルールは自治体によって異なります。しかし、基本的に家庭用の粗大ごみと同じ方法では回収してもらえません。
あくまでも原則ですが、都道府県の知事に許可されている専門業者に頼む必要があります。指定された料金を払ったうえで、委託する形になるというわけです。ただし、都道府県で価格が統一されているわけではありません。
そのため、複数社から見積もりをとったうえで決めることがポイントになります。少なからず悪徳業者も見受けられるので、本当に許可を持っているのか確認することが大事です。
自分で処分場に運搬する
一定の条件を満たしている場合に限られますが、事業者が自分で処分場に持ち込むという方法もあります。この方法を選択するなら、日時や場所などを事前に十分調べておきましょう。ゴミの種類についても確認しておかないと、現場で断られるような事態になりかねません。
なお、やはりこちらに関しても自治体によってルールが異なります。そのため、これまでにオフィスを移転した経験があるからといって油断しないでください。エリアにおける条件をしっかり理解したうえで、二度手間にならないように気を付けて臨みましょう。
買い取り業者に売る
捨てたいものがまだ使える状態であれば、買い取ってもらうことも可能です。わずかにでも利益が出るなら、たいていの事業者はありがたいと感じることでしょう。同じ種類のものでも、オフィスでは一般家庭よりハイグレードな製品を使っていることが多いです。
そのため、予想以上に高値で売れることも珍しくありません。古いものが多ければ、査定によって0円という値段を付けられる製品もあるでしょう。しかし、少しでもプラス査定があれば、処分にかかる費用を軽減できます。不用品の回収も行っている業者なら、費用と収益をその場で相殺してくれるので手間もかかりません。
ゴミを処分する時に注意することとは?
オフィスの移転でゴミを処分するときは細心の注意を払いましょう。どのようなリスクがあるのか理解したうえで適切に実施しなければなりません。以下に挙げる2点はその中でも特に重要なものです。
会社の粗大ごみは自治体に回収してもらえない
前述のように、事業活動によって生じた粗大ごみは一般家庭のそれとは扱いが異なります。たいていの自治体では普通に回収してもらうことは不可能です。産業廃棄物に分類されている時点で、まったく別物だと認識しておく必要があります。
家に持ち帰り、家庭ごみとして捨てれば良いと考える人もいるでしょう。そのような行為が発覚した場合、罪に問われるリスクがあるので注意してください。個人の問題では済まず、企業全体に厳重な指導が行われる可能性もあります。
情報漏洩には細心の注意を払う
企業から出るごみには情報が残っているケースが少なくありません。たとえば、パソコンを廃棄する場合、ハードディスクに個人情報が残っていることはよくあります。デスクを処分する場合も、機密資料が引き出しに入っているようなケースもあるのです。それらを悪意のある人物が入手した場合、さまざまな弊害が生じるリスクがあります。
したがって、情報漏洩が起こらないように事前の処置を十分に行っておくことが重要です。パソコンならハードディスクを物理的に破壊しておくという方法もあります。いずれにせよ、従業員による綿密なチェックが大前提です。
事務所移転の際は「処分」と「買い取り」を組み合わせてコスト削減!
一般的に、オフィスの移転には大きなコストがかかります。いくら円滑に引っ越しが完了しても、その後の事業活動を行う資金が不足すると意味がありません。少しでもコストを軽減しようとする姿勢が重要であり、そのためにはごみの廃棄を工夫することも大事です。単純に処分するだけでなく、買い取りをうまく活用していくことがポイントになります。
寿命が尽きていないものは、まず買い取りの見積もりをしてもらいましょう。見積もり無料という業者が多いので、いくつかに依頼してみることが大切です。業者の専門性などにより、査定額に差が見られることがよくあります。ただし、高く買い取ってもらえるところを選ぶだけでは不十分です。
処分にかかる費用も同時に見積もってもらい、その収支ができるだけプラスになるところを選択しましょう。いくら買い取りの査定が高くても、処分にかかる費用がそれ以上ならマイナスになってしまいます。反対に、買い取りの査定が低くても、処分にほとんど費用がかからないならプラスになるでしょう。
このように両方のバランスを確認したうえで決定することが大事です。処分と買い取りの査定を同時に申し込めるところを選べば、待ち時間を短縮できるのでオフィスの移転をスムーズに進められます。
まとめ
オフィスの移転におけるごみの処分は、工夫次第で満足の高いものになります。たとえば、処分と買い取りを同時に申し込むことにより、何らかのサービスを付帯してくれる業者も珍しくありません。
多様な観点を持てば、自社にとって最もコスト削減につながる業者を選べるようになります。少なくとも法律に反するような廃棄の仕方をしてはいけません。それが不安なら、たとえごみの量が少なくても専門業者に任せたほうが安全です。もちろん、量が多ければ、その恩恵は何倍にも膨らむことになるでしょう。
オフィスの移転は準備することが多く、事業をストップする状態になるケースがよく見受けられます。その間にビジネスチャンスを逃すなど、企業にとって大きな痛手が生じることもありえます。そういった事態の予防としても、最初にしっかり方針を決めたうえで、適切に処分を進めていくことが欠かせません。直前になって慌てるのではなく、計画的に実施することを心がけましょう。